建築家から見た、住まいづくりのポイント①

|玄関とシューズクロークの正しい付き合い方。

建築家がお話する住まいづくりのポイント、第2回目は、最近とても人気がある玄関まわりのスペースについてお話しします。

●玄関について
昔から、玄関は「家の顔」と言われています。かつての住まいでは、玄関の広さが4.5帖や6.0帖もあるケースもありましたが、現代では夢のまた夢です。
しかし最近、玄関に「ある機能」を持たせることが多くなっています。
それは、「シューズクローク」。名前にシューズという言葉が入っていますが、用途は多岐にわたり、靴はもちろんベビーカーやゴルフセット、ガーデニング道具、アウトドアグッズ、さらには車のタイヤなど、収納したいものはどんどん膨れ上がっていきます。
そうなると「やはり4.5帖程度は必要か」となってしまうため、ものを整理し、残すべきものをどこに納めるかなどを考える必要があります。

まず、多くの靴は下足入れで対応しましょう。幅160cm、高さは腰までのタイプ(ミドルタイプ)で40足が収納できます。家族4人なら1人10足までしまえる計算になります。
そして、下足入れからあふれ出た靴のどれを残し、どれを処分するのかを判断しましょう。

次にベビーカーです。住まいを購入しようと考える世代には、小学校入学前のお子様がいる場合が多くあります。そして、大半がシューズクロークにベビーカーをしまいたいとの希望を持っています。
お出かけするたびにシューズクロークからベビーカーを出し、車に積み込む作業は非常に効率的と考えがちです。しかし、実はそうした使い方は最初だけ。最終的には車のトランクルームにしまいっぱなしになるケースもあります。

では、ゴルフセットはどうでしょう、これはその使用頻度が関わってきます。月に1度はコースに出て、週末は必ず練習場に出かけるのであれば、シューズクロークにしまっておく意味があるように思います。ガーデニングセットも同じ考えです。

一方、車のタイヤをわざわざ屋根つきの良い場所で保管する必要性は低いように感じます。これは駐車場スペースを上手に活用しましょう。

夏にキャンプで使う道具は───4人家族がキャンプをするために必要な道具となると、それなりの量になります。いま持っている道具と購入予定の物を検討し、適切なサイズでスペースを確保しましょう。

このように、それぞれの必要性を考えるとシューズクロークの広さが見えてきます。通常のご家庭であれば1.0帖から1.5帖あれば十分。趣味の範囲を超えている方でも、2.0帖あれば大丈夫だと思います。

また、それほどシューズクロークの必要性を感じない方も多くいらっしゃいます。そんな場合、私たちがご提案するのが、0.5帖から0.75帖の収納に可動棚を設け、上部にステンレスパイプを取り付ける「なんちゃってシューズクローク」の設置です。
可動棚は、どんな使い方にも柔軟に対応できるもので、下に重い荷物、上に細かいもの、棚板を外すと長物もしまうことができます。上に設置したパイプを利用して、クローゼットとしても使用できます。

●ポーチについて
最後にポーチについてお話します。お客様から、ポーチを設けたいというご要望をいただくことはほとんどありません。前述のシューズクロークに思いを寄せているからです。
しかし、住み始めるとこのポーチこそ大切だった、ということにきっと気づくと思います。ポーチとは、「玄関先の屋根の付いた部分」。屋根の付いた、という言葉が大切で、室内に入るまでの一瞬、お出かけするときの一瞬、お客様が訪ねてこられた時の身支度する一瞬と、その時その時の一瞬を厳しい日差し、そして雨・雪・風から守ってくれます。

玄関一つをとっても、様々な使い方があり、その分いろいろ検討することが見えてきます。もちろん、大半の方が住まいづくりの初心者ですから、わからなければ私たちプロにご相談ください。いっしょにお話をしながら、最適なプランをつくっていきます。


大杉 将

街にも旅先にも、目がとまり、心ひかれる建物が必ずあります。そんなときめきを、住んでくださる方々にも感じてほしい。そう考えながら、間取りのプランニングはもちろん、仕様や設備のセレクトにまで建築士としてのこだわりを反映しています。

○プロフィール

2012年アーレックス一級建築士事務所に入社。美術館や日本の歴史的建造物を見てまわり、現代住宅にその想いを取り入れる。既成概念にとらわれない空間づくりで、個性的な住まいを提案し続ける。