日常生活の中にある、建築的風景①

|街中に見るアンビルド建築の謎

リオのオリンピック・パラリンピックでは、各種目とも日本勢が活躍して感動の連続でした。
4年後の開催地は日本の東京になります。

TVで観た開催地決定の瞬間、「T・O・K・Y・O」を今も鮮明に覚えています。しかし、その後TVから流れるオリンピック関係のニュースにはあまり良い話がなかった気がします。

その中でも、東京オリンピックメインスタジアムの問題は、建築に携わる者としてとても興味がありました。世界各国の著名な建築家によるコンペの結果、イラク国籍のザハ・ハディド氏の案が採用されました。
彼女の作品は、デビュー当時「実現不可能な建物」アンビルドアーキテクチャーと呼ばれていました。

そんな彼女の作品も近年技術の進歩により数多くの作品が発表されはじめ、ついに日本にも彼女の作品がお目見えするのかと(デザインしたお店は札幌(閉店)と東京にありますが)楽しみに思っていた矢先…。ザハ案は完成を見ることのないアンビルド建築になってしまい、その彼女も亡くなってしまいました。

もう見ることのできない「キールアーチ」、残念。「キールアーチ」とても残念。
でも、最近街中でこのキールアーチらしき物を見かけるのです。出勤時とか、週末の公園とか。
写真を見てくださいね!キールアーチじゃないですか?
東京オリンピックメインスタジアムに見えませんか?

すでに、ザハの「キールアーチ」は実現していたんです。
規模は違いますが、まさにザハ建築です。
実現不可能とか、とてつもない建築費がかかるなどいろいろ言われましたが、ザハの思い(建築)はこんな身近にあったのです。

もし、これって…ひょっとして…と、思う方がいるのであれば、もうそれは幻のアンビルド建築ではなくザハ最後の建築となるのではないでしょうか。
規模や用途こそ違いますが、このような形でザハの建築を感じることが出来るのであれば、建築に携わる者としてとてもうれしく思います。


大杉 将

街にも旅先にも、目がとまり、心ひかれる建物が必ずあります。そんなときめきを、住んでくださる方々にも感じてほしい。そう考えながら、間取りのプランニングはもちろん、仕様や設備のセレクトにまで建築士としてのこだわりを反映しています。

○プロフィール

2012年アーレックス一級建築士事務所に入社。美術館や日本の歴史的建造物を見てまわり、現代住宅にその想いを取り入れる。既成概念にとらわれない空間づくりで、個性的な住まいを提案し続ける。