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2025.07.02

片流れ屋根って実際どうなの?
特徴とメリット・デメリットを解説。

現代的でスタイリッシュなデザインが人気の「片流れ屋根」。日本の伝統的な切妻屋根や寄棟屋根と比べてモダンな印象を与える形状で、最近では街中でもよく目にするようになりました。

デザイン性を求める施主様に選ばれている片流れ屋根ですが、では実際のところデザイン以外でどのような特徴があるのでしょうか? そこで本記事では、片流れ屋根のメリットに加えて、デメリットとその対策方法を解説。またアーレックスでの実例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

片流れ屋根の特徴

屋根全体が一方向に傾斜している形状が特徴的な「片流れ屋根」。最近では住宅や商業店舗など、様々な建物に採用されています。現代的でスタイリッシュな外観デザインをつくり出すことが可能なため、住宅の見た目を重視する人に選ばれています。

また屋根が一方向に傾いていることから、室内に高低差のある勾配が生まれることも特徴。形状を活用して、天井の高い屋根裏やロフトを設けるなど、室内に開放感を与えられる屋根形状となっています。

片流れ屋根だからこそ得られる4つのメリット

片流れ屋根の魅力はデザイン性だけではありません。特徴を活かすことで、機能性や住環境の快適さを大幅に向上させることが可能です。続いては、片流れ屋根の主なメリットを4つ紹介します。

1.スタイリッシュなデザインに仕上がる

冒頭でも説明した通り、片流れ屋根は外観・内観の両面でスタイリッシュさを演出できるためデザイン性に優れています。直線的でスマートなフォルムと、シンプルで洗練された外観デザインを好む方に人気です。

また片流れ屋根の勾配を活かして、開放感のある室内空間を演出することも可能。屋根裏部屋やロフトスペースをつくることで、奥行きのある空間を有効活用することもできます。

2.建築コストを抑えられる

片流れ屋根のメリットの一つに、建築にかかる初期費用を安く抑えられる点が挙げられます。通常、屋根のデザインは複雑になっていくほど、必然的に建築コストが高くなってしまいますが、片流れ屋根は一枚屋根のシンプルな構造でつくられているため、他の形状の屋根に比べて工事の手間や時間が短縮されます。

また雨水を流す雨どいが片側だけで済むため、材料費や設置費用の削減も期待できるでしょう。他の屋根と比較して数十万円安くなるケースもあるため、費用面を重視する場合は片流れ屋根がおすすめです。

3.雨漏りしにくい

雨漏りは屋根の接合部分から発生すると言われています。そのため、切妻屋根や寄棟屋根のような複数の面が接合する形状では、隙間が多くなり雨水が侵入しやすくなります。

一方、片流れ屋根は一方向に傾斜したシンプルな構造のため、隙間が少なくなり雨漏りのリスクを抑えられる効果があります。また屋根全体が一方向に水を流す設計になっているため、排水がスムーズで雨水が溜まりにくく、防水性能を高めるメリットも備えています。

4.ソーラーパネルが設置しやすい

片流れ屋根のフラットで大きな一枚屋根は、ソーラーパネルの設置に非常に適しています。他の屋根形状に比べて、広いスペースに多くのソーラーパネルを効率よく配置できるため、発電量を増やすことも期待できます。

また、太陽光発電に理想的とされる「南向き・傾斜角度30度」の条件を満たしやすい点もメリットの一つ。屋根全体を南向きに配置できる場合、パネルの設置角度が自然と最適化され、日射を最大限に活用できます。この設計は、片流れ屋根ならではの利点と言えるでしょう。

知っておきたい片流れ屋根の3つのデメリット

片流れ屋根には多くのメリットがある一方で、注意が必要なデメリットも存在します。気を付けておきたいポイントや知っておくべき改善策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1.風の影響

屋根は傾斜面が多いほど風を分散しやすいと言われています。そのため、一方向にのみ大きな傾斜面を持つ片流れ屋根は、風圧を直接受けやすい構造になっており、他の屋根形状に比べて負担が大きくなる可能性があります。

特に急勾配の屋根ほど風圧の影響を強く受けるため、片流れ屋根を採用する際には勾配を緩やかにするなどの対策が必要です。風の影響を考慮して設計することで、建物全体の安全性を高める効果が期待できます。

2.雨の影響

片流れ屋根は雨水が全て一箇所に流れていくため、雨どいに負担が集中しやすくなります。その結果、雨どいの詰まりや破損が起きやすく、さらに雨どいから垂れる雨水が特定の外壁部分にかかり続けることで、その部分だけが劣化しやすくなる可能性も考えられます。

改善策としては、雨どいを定期的に清掃して詰まりを防ぐことや、外壁への雨水がかかるのを抑えるために防水加工を施す方法があります。対策を行うことで、劣化を大幅に軽減することが可能です。

3.通気性

実は片流れ屋根は通気性があまり良くありません。これは屋根の構造上、三角形の屋根の片方がないため、一方向にしか換気口を設置できないことが主な理由です。上手く換気ができないと湿気がこもってしまい、カビや結露が発生する原因にもなります。

しかし換気棟を設置したり、日頃から湿気対策をこまめに行うなどのメンテナンスを怠らなければ、カビや結露を回避することができるでしょう。

片流れ屋根の実例を紹介

スタイリッシュなデザインが目を引く片流れ屋根は、外観だけでなく、開放感あふれる内観に多くの工夫が施されています。続いては、片流れ屋根の実例を紹介し、そのデザイン性や暮らしの快適さを詳しくお伝えします。

木目調が温かい印象を与える片流れ屋根

まず紹介するのは、片流れ屋根の傾斜が印象的なモダンな住まい。外観の大きな庇が水平ラインを際立たせ、さらに木目調のデザインと横に広がるポーチによって、温かみと落ち着きを感じさせる仕上がりになっています。

玄関から続く土間キッチンは訪れる人を心地良く出迎え、まるでカフェのようなおしゃれな雰囲気を演出。吹き抜けの階段は開放感だけでなく、家族の存在を身近に感じられる空間を実現しています。コミュニケーションを育む住まいは家族の絆を深め、日々の時間に彩りを添えてくれるでしょう。


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勾配天井がつくり出すスタイリッシュな2階リビング

続いて紹介するのは、限られたスペースを最大限に活かして建てられた狭小住宅。白い外壁に水平ラインのサイディングと木目調を組み合わせたシンプルな美しさは、周囲の緑と調和しながらも洗練された印象を与えます。

また2階には片流れ屋根の傾斜を活かし、勾配天井の開放的なLDKを計画しました。間接照明の演出と、大きく配した窓からの温かな陽の光によって、広がりを感じながらも落ち着きのある空間に仕上げています。

さらに2階リビングから繋がるバルコニーは、セカンドリビングとして活用することが可能。1階とは違って外部からの視線が気にならないため、自由にプライベートな時間を楽しむことができます。

木目調の温かみとナチュラルモダンが融合した、上質で居心地の良い暮らしを楽しめる一邸です。


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片流れ屋根とタイルが映える、シンプルで洗練された家

シンプルな片流れのファサードに、重厚感溢れるタイル調のデザインを採用した外観デザインが特徴的な住まい。2棟とも色合いや雰囲気は違うものの、片流れ屋根と組み合わせることで、モダンで統一感のある街並みを形成しています。

きめ細かいテクスチャーと質感を持つサイディングに、ダイナミックな空間演出を可能とするゴールドブラウンの外壁タイルを組み合わせました。

もう一棟は、流れるような岩肌の造形美を演出したホワイトの外壁と、ナチュラルな表情を彩るブラックの外壁を掛け合わせたファザードに、大理石調の気品のある外壁タイルを合わせ、スタイリッシュなデザインに仕上げました。

デザイン・機能性に優れた片流れ屋根でおしゃれライフを!

洗練されたスタイリッシュなデザインが叶う片流れ屋根の家。一方向に傾斜したフォルムがおしゃれな外観をつくり上げるだけでなく、勾配天井を活かした空間設計も魅力です。広々としたLDKは開放感に溢れ、自然光がたっぷりと差し込む明るい住まいを実現してくれます。

また天井高を活かして間接照明を設置すれば、洗練された雰囲気を演出することも可能。片流れ屋根は屋根裏空間の活用やソーラーパネルの設置にも適しており、機能性の面でも大きな魅力があります。

アーレックスでは、片流れ屋根を採用した住宅を実際に体感できる見学会を随時開催中です。住宅に関する資料もご用意しておりますので、片流れ屋根に興味のある方はお気軽にお問い合わせください。おしゃれで快適な暮らしを片流れ屋根で叶えてみませんか?